2010年12月04日

2010年のIEAの見解

ご無沙汰でした。
この11月には、IEA(国際エネルギー機関)が在来原油の生産量ピークが2006年であった、と後付けで認めたことがニュースとなりました。

IEAのWEO2010報告書の各種グラフより引っ張ってきました。
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 このグラフを細かく見てみましょう。
@減少し始めている青色の部分は、既存油田からの在来原油生産量を示しています。昨年のIEAによる800カ所の巨大油田の調査によれば、年平均3.4%減少し続けると評価されていましたし、実際には中小規模の油田の減耗率はそれ以上となるので、もっと右肩下がりは急です。
A灰色の部分=開発中の油田からの在来原油と、
B水色の部分=探査中の油田からの在来原油の2つのクサビは、昨年までの評価では、右肩上がりに描かれていたのが、水平に描かれるようになった、つまり2006年が在来原油の生産量ピーク(ピークオイル)であった、と評価しているのが、今年の大きな違いです。
この3種を合わせたものが、2005年06年レベルで横ばいになっているものの、実際には右肩上がりで増え続けるとされる需要を賄うには足りない、という評価にならざるを得ません。
その右肩上がりを補うものとして、C天然ガス田の副産物として出る油(紫色)と、D非在来原油(タールサンド/バイオエタノール/…)に大きな期待が掛けられています。

 ピーク論者の視点から見れば、A、Bのクサビそのものが期待の込められたものであり、未来の減耗も予想できていない、発見率の悪化という実績を反映できていないものであり、悲鳴を隠すための煙幕として置かれているに過ぎないと批判の元になっています。
C天然ガス液も、将来の天然ガスピーク現象に伴うピークが描けていません。
D非在来原油は、環境悪化(CO2排出の激化、精製などへのエネルギー消費の増大、水消費の拡大、土地利用の食糧との競合など)が指摘されており、およそ急拡大することは考えにくいものです。

 IEA自身が2年前に出したWEO2008では、石油供給のピークは2020年以降のいつか先のことだ、と近いピークオイルを否定していたわけですから、これまでの過大評価の原因究明を納得のいく形で行われない限り、今年のグラフもまた、A、Bのクサビへの過大評価が入っていると疑うべきものです。

 とはいえ、在来原油がピークを過ぎた=安価、イージーなオイルはなくなりつつあり、新規開発には、従来以上に投資が必要であるという現実は広く伝えなければならないという価値判断からきちんと表現しているものと思われます。

 3年計画のような形で、徐々にピークオイルの厳しい現実を一般大衆に知らせつつある、その途上の発表であろうと考えます。

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posted by おぐおぐ at 23:09| Comment(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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