2006年06月07日

ハーシュのクサビ

米国エネルギー省(DOE)が公表した、通称ヒルハーシュレポートの中からヒルハーシュのクサビの紹介をしておきます。

クサビ(Wedge)とは、ゴルフのクラブをサンドウェッジとか呼びますけれども、▲の断面をもったものです。
要はヒルハーシュレポートの中では石油(エネルギー)の需要と供給の間のギャップを埋めるための定量的評価のできる手札の総体を意味しています。

左上の図の中で想定されている各種の手札となる技術は、EOR(石油増進回収)、Coal Liquids(石炭液化)、Heavy Oil(重質油)、GTL(天然ガス液化油?/ジーティーエル)、Eff.Vehicles(自動車燃料の効率向上)の5種類が上げられています。このうち、自動車燃料の効率向上以外は皆、供給側の対策となっています。

グラフの横軸にはCrash(緊急)プログラムを開始してからの時間を、縦軸は量的な可能性を、それぞれ示しています。(辞書にはCrash Programmeの訳として、「突貫事業計画」というのもありますね)
緊急プログラムを開始してからも3,4年間は施設の建設等で時間が掛かるため、成果が全く上がらず、それから累積の効果がぐっと上がってクサビ状に成立するのだ、という趣旨を表しています。
(以前作成した模式図も見て、クサビの意味を認識して下さい。)ヒルハーシュレポートの優れたところは、何時が石油産出のピークとなるか、という衒学的な議論の問題意識ではなく、むしろ、いつこのギャップを埋めるクサビとなる緊急プログラムを実際に開始すべきかという議論に焦点を当てている点です。大雑把にはピークオイル時に開始する場合、10年前、20年前と場合わけをしています。

その結論として書かれていることは、実際にピークが起る20年ほど前に緊急プログラムを開始すれば、需給ギャップが起ることなしに、ソフトランディング的にエネルギー転換を行えるという論旨になります。
あと20年先といえば、2030年のピーク説をほぼ射程範囲においていますから、いわゆる楽観派だろうが悲観派だろうが、ただちにヒルハーシュのクサビを打ち込むべきだ、という結論に収束する主張となっています。
その他の大タトしの説を主張する人たちのことは考慮しなくても、悲観派と楽観派の二派連合で意思決定のための過半数以上を形成することが出来る筈です。


米ブッシュ政権が、このレポートの公表を何ヶ月間も遅らせたのはいかにもありそうな反応というものです。
このような認識がひとたび行き渡れば、政治家の臆病さ以外には行動しない理由は付かないでしょう。
posted by おぐおぐ at 20:05 | TrackBack(1) | 供給側対策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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【新しい手法の模索】ネガティブミーティングというものがあるそうです
Excerpt: ポジティブシンキングばかりでは、見落とす・無理難題をほおって置いて現場がやる気な
Weblog: 産学連携SNS 技術見習い日記
Tracked: 2006-07-09 18:37
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