2006年07月07日

クウェート前野党議員、埋蔵量水増しを認める(仮)by 南十字星通信

 ritaさんより送っていただいた記事を下半分で紹介します。

SGWのコメント:
 これは以前、南十字星通信「水増しされたクウェートの原油埋蔵量/Kuwait reverses its oil reserves.」
http://www.the-commons.jp/rick/2006/01/kuwait_reverses_its_oil_reserv.html#more
でもすでに紹介いただいている記事の続報です。

 このときの記事ではritaさんは、クウェートの大ブルガン油田は日産200万バーレルを産出されていることが期待されていたが、170万バーレルしか出せなかった、予測埋蔵量も下方修正が必要、という、http://energybulletin.net/10878.html ここの情報などから、”クウェートの「埋蔵量」の水増しが事実ならば、世界があてにする原油の500億バレルが最初から存在しなかったことになる。”としています。
 今回の記事はその補強材料が出てきたということのようですね。

 石油がなくなれば砂漠だけに戻っていく土地へ、クウェートの人たちは何を祖国へ持って帰るのでしょう。
キョウト議定書の交渉の場面ではOPEC特にアラブの衣装をきた代表団員が、石油ロビイストの大物(ブルドッグのような顔をした)ドン・パールマン(だったかピールマンだったか)と立ち話をしているのを遠くから眺めて、あいつらどんな悪辣なやつらだろう、どんな悪巧みをしているんだろう、と思っていたものでした。
 彼らは埋蔵量水増しという秘密を内に抱えていたがために、少しでも自国に有利な条件を引き出したくて、温暖化対策の経済的な悪影響の補償を先進国に求める主張で交渉進展の足を引っ張っていたのかな、あるいはもしかして「そのネタをばらすぞ」とロビイストにゆすられていたためにいやいや悪役を引き受けていたのではないか、と妄想が湧いてきて同情してしまいそうになります。

 もっともOPEC各国は、もう現在までに経済的な補償と言ってよいほど高い額を、昨今の原油高騰で荒稼ぎしているはずです。
さらに温暖化対策の規制対象物質は石炭と他の非在来化石燃料だけで済むかもしれませんから、石油輸出国への補償は必要ないものと締約国会議で決定すべきとは思いますが。

−−−ここより転載公表されるクウェートの原油埋蔵量が水増しされており、実際は半分くらいの480億バレルではないか、というクウェート石油会社の内部資料に基づく疑惑については以前取り上げました。この真偽について、政府は公式発表を控えていますが、暗にそれを否定するかのように、2020年までに日産400万バレルへの増産を発表しています。

しかし、6月22日付けのAFPは、クウェート電で、野党党首の前国会議員が埋蔵量の水増しを事実上認める発言を伝えています。
http://news.yahoo.com/s/afp/20060622/wl_mideast_afp/kuwaitoiloutput_060622124022

21日に水増しを認める発言をしたのは野党のクウェート民主フォーラム(KDF)のリーダー、アブドゥラ・アル・ニバリ前国会議員。70年代には、石油企業の国営化に奔走した議員のひとりです。

「自分の情報源から得た情報、そして、議員だった時に得た公式の数字などから判断すると、PIWの報道は正しい」と、内部資料をすっぱ抜いた業界紙、Petroleum Intelligence Weekly (PIW)の報道を認めています。

クウェートの公式埋蔵量は「1997年末には965億バレルで世界合計のおよそ10%」(大使館ウエッブサイト)とも「973億バーレル(2004年末現在)」(日本の外務省サイト)とも言われています。これらの数字はあたかも、検証された数字のように一人歩きをしていますが、それが正しいとは限りません。ピーク論者のマット・シモンズなどが指摘するように、水増しされた疑いが濃い数字です。

OPEC諸国の埋蔵量はそれぞれの国が勝手に申告するものです。それぞれの埋蔵量は、OPECが1983年に埋蔵量に比例する生産割当を取り入れてから、急増しました。クウェートの埋蔵量も、84年の639億バレルから翌年には900億バレルに上昇しました。この数字が現在の「公式埋蔵量」の中味です。

しかも、埋蔵量といっても、それが全部回収可能なわけではありません。業界ではその可能性に応じて、「確認」、「推定」、「予想」に分けていますが、クウェートでは全部含めたもの。なので480億バレルのうち、ほぼ回収できる見込みがあるのは360億バレル程度ではないか、とニバリ。現状の生産レベルで行けば、あと、40年はもつものも、「日産400万バレルに増産すれば、20年でなくなってしまう」量。

クウェートの「埋蔵量」として、世界があてにする原油の500億バレル(全世界の埋蔵量の5%)が最初から存在しなかったことになります。そして、80年代の水増しはクウェートだけではありません。疑惑の埋蔵量はOPEC諸国全体で7000億バレル(つまり、全世界の埋蔵量の70%)ほど。これもクウェートの500億バレル同様、ないものときめてかかったほうが良さそうです。

砂のベールが剥がれ始め、石油文明の黄昏はますます、深まるばかりだ。
   −−−   −−−
Sent by rita at 06/06/23 16:36
南十字星通信 より転載)

●コメントby rita 2006-07-12 23:14:06
クウェートのエントリーにコメント書き込もうとしましたが、相変わらず、相性が悪いようで。
(でも金曜には新しい中古ピュータが到着する予定で、ソシタラ状況も改善されるだろう、そう期待してます)
下記、コメントです。

ーーー

ジェレミー・レゲットはこの件に関し、近著「Half Gone」(作品社から益岡さんの翻訳で出版予定)のなかで、次のように述べています。

「私は一九九八年に、自分の知る限り世界で初めて、気候変動問題交渉の歴史の内幕を書きまとめた。『The Carbon War【炭素をめぐる戦争】』というタイトルはいかにも軍事ものっぽいが、新参の環境運動家の目には、それは戦争以外の何ものにも見えなかった。環境問題会議の席では、さすがに、石炭、石油など化石燃料関連業界を代表する団体を「炭素クラブ」という、もっと穏やかな名前で呼んでやったが、彼らの戦いぶりは汚かった。
それらの団体には、真意を隠すため、いかにもそれっぽい名前がつけられていた。なかでも、支配的な役割を演じたのは世界気候評議会(WCC)と地球気候連合(GCC)のふたつだ。私は一九九〇年八月、スウェーデンのスンスヴァルで、世界気候会議(WCC)開催前、最後になるIPCCに出席するサウジ・アラビアの代表が、世界気候評議会(WCC)代表のドン・パールマンから特訓されるのを目撃した。ホテルのロビーに陣取るパールマンのまわりを、それぞれIPCC報告書の骨子の原案を手にするサウジの高官が取り囲んでいた。そばを通りかかる人にもよく聞こえる声で、報告書を骨抜きにするための対応策を練習していたのだ。パールマンの特訓のあと、交渉に臨んだサウジの外交団は遅延や議事妨害をくりかえし、「二酸化炭素」という言葉を報告書から消し去るため、信じがたい策を延々と弄することもあった。
地球の安寧を含め長い将来がかかっているというのに、一国の政府が目先の利益のためにここまで身を落とせるものなら、石油埋蔵量の減耗についても、どこまで本当のことを言っているのか、希望は持てない。」

●コメントby SGW 2006-07-14 01:14:36
 「Half Gone」とはそのまんまな題ですが日本語版ではなんて表題にするんでしょうね。

 気候問題に関わる環境NGOsの国際会議でのロビー活動が始まったのがちょうど1990年ころかと思います。レゲット氏は多分当時はグリーンピースのアドバイザーとして参加した一番古株の人なのではないでしょうか。今は確か太陽電池の会社の社長とかをしていたはずですよね。

●コメントby rita   2006-07-14 18:07:27
その通りです。
レゲットは今月ピサで開かれるASPOの総会でもお話をする予定になってます。
レゲットの本は、はい、とても面白い本です。近いうちに感想を書こうと思ってます。
posted by おぐおぐ at 23:08 | TrackBack(1) | 悪影響/ニュース/リンク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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