2006年08月02日

余剰能力はもうどこにもない/no spare capacity.by『南十字星通信』

http://210.150.185.3/commons/main/rick/2006/08/no_spare_capacity.html
より。

 地政学とか国際政治は魑魅魍魎の世界なので、このジャンルの出来事には本来なら深入りしたくないところですが、多彩な目くらましの一つ一つの意味を的確に伝えることが信用を得る近道とも考えられます。
 一つ一つの個別独立した出来事と解釈されうるものもホーリスティックなピークオイル問題の一側面の顕れとして解釈できるという事例を積み上げる努力を今後ともしていければなあ、と思います・・・などと言いながら、リック・タナカさんの記事からの丸ごと転載になりますがご容赦を。


−−−   −−−   −−−転載ここから
 国連の安全保障理事会は7月31日、ウラン濃縮関連活動の全面停止を求め、8月31日までに従わない場合には経済制裁を発動することをイランに警告する決議を採択しました。

経済制裁が発動されれば、イランは石油の輸出もできなくなり、たしかに、イランにとっても打撃になるでしょうが,この決議に賛成した石油消費国の方への影響はどうなのでしょうか。そのあたり、あまり報道されていません。

たしかに、毎日毎日,世界中で消費される8100万バレルのうち、イラン産のアブラは200万バレル、量的にはそれほど大きくありません。アメリカには7億バレル近い備蓄があり,日本やヨーロッパにも1億バレル以上の備蓄があるので,イランへの経済制裁がアブラの供給を直接、脅かすことはないだろうと見られています。為政者や巷のメディアがあまり話題にしないのも、これを頼りにしているからでしょう。

しかし、オイルピークに直面する現代,ことはそれほど簡単ではありません。元国営イラン石油会社副社長でありイラン史講師(テヘラン大学)のアリ・サムサム・バクティアリは、7月11日、オーストラリア国会の上院調査会に招かれ証言したなかで、この時代に「地政学的な事件」がもたらす影響を次のように述べています。(全文は国会議事録
「ペルシャ湾であれ,東南アジアであれ,地政学的な事件がもたらす心理的なインパクトが石油価格に大きく跳ね返ります。オイル・ピーク直後の時代,需要と供給の差は拮抗しており,地政学上のちょっとした事件でも大きな影響になります。
たとえば、サウジアラビアでもどこでもかまいませんが,かつてのように、200万から300万バレルの石油を増産できる余剰能力があれば、事件にもおろおろすることはないでしょう。しかし、余剰能力はもうどこにもないのです。サウジは100万から150万を増産できる余剰能力があると言っていますが,私は信じません。サウジには余剰能力は全くありません。それどころか,余剰能力は,OPECにも非OPEC諸国,ロシアにもサウジにも全くないと思います。大きなインパクトになり,石油価格がどこまであがるのか,わかりません」

アブラがふんだんにあっても,小さなことで価格が不安定になることはピークの兆候として,ピーク論者がずっと指摘していることです。アブラの需要と供給が逼迫し,余剰生産能力がどこにもないこの時代には「これまでどおりが通用しない(バクティアリ)」ことを肝に銘じておかなければならないでしょう。

投稿者: リック・タナカ 日時: 2006年08月01日 16:26
http://210.150.185.3/commons/main/rick/
−−−   −−−   −−−転載ここまで

 さて、現在が証言者の言っているような「オイル・ピーク直後の時代」なのかどうかは、「「ん」のカーブが意味するもの」 で示した違う解釈が成り立つと思っていますが、それはほとんど違う結論をもたらしませんので、証言者の文言だけ変えて「プラトーの時代・前期ないし後期」こちらではないかとだけ書いておきます。

●コメントby mattmicky 2006-08-04 20:56:04
イランの核開発についてはこういう記事がありました。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/5235732.stm

また、今年余剰生産力が更に低下する可能性は、こういう記事を見ると、十分あると思います。
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601103&sid=anv9Ujulc2o0&refer=news

●コメントby rita 2006-08-04 21:31:33
mattmickyさん、こんにちは。
余剰能力はもうないと思います。
ちょっと前までは油の価格が上がるたびに,サウジアラビアが出てきて,「xxバレルを増産する」って言ったものですが,最近はとんと聞きませんね。もっとも市場を含め,誰もその言葉を信用しなくなった。そして、サウジに残るのが重油であることもその理由だと思いますが。
余剰能力というクッションがなくなり,些細なことが大きな心理的影響をもたらし,早急に手を打たないと社会不安が広がるのではないかと心配しています。

●コメントby mattmicky   2006-08-05 00:27:02
そうですか。ritaさんもやっぱりそうお考えですか...
この4カ月間ほど、「油田の減耗率が...」という報道が増えてきたり、産油国でバイオ燃料導入推進策がとられ始めたり、「どうもやばそうだな」と感じます。

●コメントby SGW 2006-08-05 06:05:52
ritaさん紹介のオーストラリア上院調査会での証言を読んでいっていますが、ずいぶん詳しい中身になっていますね。日本でこんな議論ができるのはいつまで経っても無理かとも思います。(全編通訳つきで証人を海外から求めなければ)
質問を出しているミルン議員とか出席しているBob Brown氏は緑の党の人ですね。

●コメントby rita 2006-08-05 08:27:28
どもども。ミルんもブラウンもタスマニア選出の緑の党の上院議員です。党がピークを認め,対策をとれ,と呼びかけているだけにこの辺りは想像できるんですが,面白いのは保守的なナショナル・パーティのジョイス議員あたりが結構ピーク通だということです。バクティアリへの最初の質問でも「私はしばらく,あなたの言説を追っている」と告白してます。
さて,この影響ですが,報告が出てみないとわかりませんが,無視されてしまわないといいなあと願ってます。
その一方,ローカルで動き出そうと。
ところで,日本のみどりの連中、ピークへの反応はいかがでしたか?

●コメントby SGW 2006-08-05 08:53:21
 ゲホゲホ、そうですね。「答えを待っている質問(=ピークオイル問題)」と「質問を待っている答え(=みどり派の政治理念)」が出会えればいいよね、という話くらいはしました。どこまで受け取ってもらえたかは、まあ後日ということで。
posted by おぐおぐ at 21:34 | TrackBack(0) | 悪影響/ニュース/リンク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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