2006年08月06日

続・余剰能力はもうどこにもない by『南十字星通信』

 サウジアラビアの状況についてもritaさんから記事をいただきました。
サウジは政治的に米国とのつながりが強く、これまで歴史的にOPECの中でのバッファー役として、生産調整を一手に引き受けてきました。もちろん、ベネズエラのユーゴ・チャベス大統領を始めとする生産カルテルとしてのOPECの復興を目指す勢力と手を組んだという政治的側面もあるはずですが、だからと言ってサウジの王族が米国と敵対する立場を安易に取るということも考えにくいものがあります。

 思うに、ritaさんが以下で示しているようにサウジが火の車であるという可能性以外に考えられることは、サウジは米国が操るイラクにバッファー役を譲り渡したという経緯があるのかもしれません。「未開発の最後の安い石油の産地であるイラクの石油が減耗し始めるまではサウジは独自の道を歩くからね、そうでなければ国内が政治的にもたないよ。米軍がイラクを政治的に安定させてくれればすべてはうまく行くはずだ…」、というような秘密協定を米国と結んでいても不思議はありません。だとすればブッシュ政権から増産の圧力を受けないで済むこともありそうです。

が、イラクの現状はみなさんご存知の通りです。イラクの原油開発がブッシュ政権の想定よりはるかに遅れていることから、結果として生産量ピークが起きようとしているのかもしれません。
 安い石油確保のためにますますエネルギーと投資を掛けることが必要となってくる、という石油減耗の原則から、イラクの原油が除外されているわけではありません。

−−−−ここから転載サウジアラビアの生産について,リチャード・ハインバーグがASPO第5回大会での業界人からの情報としてエネルギー・ブレティンで下記のように伝えています。
全文は「Searching for Hassan(ハッサンを探して)」の著者、テレンス・ウォード(Terence Ward)のやはり会議における講演要旨を紹介しながら、興味深い洞察あふれる中東情報分析です。

「サウジアラビアからの内部情報として、業界の人間から(世界最大で日産550万バレルと言われている)ガワール油田の生産が日産300万バレル以下に落ちており,サウジは他の油田の生産を最大にあげることで,ようやく微減状態を保っている」

これだけアブラの値段が上がり、ぼろ儲けの機会なのにサウジにはまったく増産の気配もなく,増産するとも言いません。それどころか,ここ数ヶ月は日産40万バレルの減産。サウジは「需要がない」と説明する。もちろん、サウジの掘り出すアブラが精製に手間のかかる重質原油ばかりであり買い手がつかない、ということはあり得ないことではないにしても、説得力に欠ける。
「世界には余剰生産能力はない」というバクティアリのコメントとあわせると,ガワールが急激に減耗し,それを残りでようやく補っている,どうやら,サウジも火の車だ、という方が真実味を帯びて聞こえます。
Posted by rita at 2006-08-05 14:21
−−−−転載ここまで

追記:最新版はこちらをご覧ください。
http://www.the-commons.jp/commons/main/rick/2006/08/_missing_millions_1.html


●コメントby mattmicky 2006-08-07 09:53:36
クウェートの野党が石油大臣を追及していましたが、あれはその後どうなったのか、ご存知ではありませんか?

●コメントby rita 2006-08-07 19:26:09
mattmickyさんこんにちは。特に追加情報はつかんでませんが,上記のハインバーグの記事でも言及されています。「議定書の存在を多分知らないだろうが,野党の要求するのは議定書の実行=すなわち減耗率に応じた生産カットである」と。
sgwさん、上記の改訂版をうちのサイトにあげました。よろしければご覧ください。転載はご自由に。
ご意見も皆様,よろしく。

●コメントby rita 2006-08-14 19:03:18
クウェートでは国会が埋蔵量について,石油大臣を重ねて追求していることが8月13日付けのameで報道されています。
http://www.ameinfo.com/93642.html

短い内容であんまり具体的なことはわかりません。
また,何か情報ありましたらおしえてください。
posted by おぐおぐ at 06:48 | TrackBack(0) | 悪影響/ニュース/リンク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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