2006年11月25日

現状認識編「成長論者のパラドックス」

 これは「パワーダウン」本からの翻訳ではありませんが、まあストーリーを書き直してみるとこんな風になるのでしょう。

●現状認識
1.今の日本政府は、「スループットの限界」については認識し始めている。

2.その対応として、財界のBauの延長路線の人たちは、自主開発の大幅増加という書き方で、石油&ガスの資源探索のみを「死に物狂いで?」増加させようとしている。
また、発電電力を得るために原発や石炭利用等を想定している。

3.しかし、ハーシュレポートが示すように主に起こる症状とは「液体燃料の欠乏」であり、これに正面から対応する概念としては、ようやくバイオエタノール生産の大幅拡大が一部の省庁から出始めたところ、しかし石油業界は反発中。

4.ピークオイル論の討議は「ストックの限界」つまり絶対的な成長の限界の認識へと進むため、成長路線の頭の中では討議は不可能です。
 (EOR&CCS/CTL&GTL/省エネ&自然エネなど、)どの分野であれ、今後の「死に物狂いの」大規模な投資が実施されないと、ハーシュのクサビのような需給の穴を埋める緊急プログラムにはなりえない。
 しかもハーシュのクサビが示しているのは、それら代替策全てを同時並行で走らせなければならないということであり、かつ成果が上がらなくなっていくので石油&ガスの資源探索からは撤退し、そちらからハーシュのクサビを構成する各対策へと投資資金を振り向ける必要がある。

「ストックの限界」を認識しなければこのような(高騰する石油の探索から手を引く)という投資態度に出ることはありえない。
(2010年の早期ピーク説では確実に、またたとえ2030年の後期ピーク説の認識が正しかった場合でも、成長論者のままでは危機が起こる20年前に緊急プログラムを開始できませんから、成長は続けられないと理解しないといけません。)

 これを成長論者のパラドックスと呼ぶことにしましょう。「成長論者が転向しなければ危機が到来して、従来の成長志向も続けられない」ことを指します。


処方箋編:部分的な取組みのススメ へつづく注:
EOR(Enhanced Oil Recovery)=石油増進回収。CO2などを減耗した油田に注入することにより原油の生産量を維持する技術
CCS(Carbon Capture and Storage)=二酸化炭素の回収・貯留
CTL(Coal To Liquid)=石炭液化燃料
GTL(Gas To Liquid)=天然ガス液化燃料
省エネ=省エネルギー(利用の節約と効率向上の両者を含む)
自然エネ=自然エネルギー(新・再生可能エネルギーとほぼ同義)
posted by おぐおぐ at 06:57 | TrackBack(0) | 哲学(時代認識/エネルギー論) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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