2006年12月11日

「青い真珠の星の未来」シナリオについて

 救命ボートを作る戦略について その1 へのforever2xxxさんからのコメントで「ピークオイルの影響のシナリオを検討されている方とかはいらっしゃるのでしょうかね?興味本位ですが、是非色々なシナリオを知りたいものです。」という質問をいただきました。

 本『ピーク・オイル・パニック』のエピローグ「青い真珠の星の未来」の寓話的な各段落もまた、一つのシナリオとなっていますので紹介しておきます。

・すべてを変えた日 という段落では9.11の事件が寓話として語られています。
・帝国の逆襲 という段落ではイラク戦争のことが語られています。

そこからさらに、
・見過ごしてきた第一と第二の点が姿を現わす
・世界危機
と続く段落では、温暖化災害の不安の増加やら、ピークオイルパニックから第二次世界恐慌へ、そして最大消費国でのファシストのクーデター騒ぎが起こるところまでが最悪の段階として語られます。

が、その後ただちに、
・世界の再生 という最後の段落で、世界市民による反撃ともいうべき逆転劇が語られめでたしめでたしとなってます。

曰く、”見る見るうちに、(電気と太陽熱を組み合わせた)代替エネルギーを使わない家が建設されることは、ほとんどなくなるまでに至った。”

”より広い安全性を求めた人たちは代替エネルギーハウスのネットワークを求めて移住し安全な生活を実現するための方法を共有しようとした。”

”より貧しい国々でも、代替手段が普及することによって格差が埋まり出し、没落する消費帝国とその衛星国への憎悪を拡大する原因も少なくなった。”

”変化の後には、独立独歩の文化、そしてローカリゼーションの文化が広まったおかげで、ついに民主主義は水平方向だけでなく垂直方向にも展開するようになった”

などの形で、付随的に温暖化問題も解決の道筋が見え、ハッピーエンドへと至るというシナリオでした。


 このシナリオについての僕の評価ですが、ちょっと見たところ、ここは偽りの希望をレゲット自身が掲げてしまっているかなと思います。つまりハインバーグの云うマジックエリクシール戦略に引きずられてしまっています。

 第二次世界恐慌に達した後、回復期にも石油を使うことはできませんから世界貿易システムは復活しないでしょう。そのときに起こりうるのはブロック経済化、植民地化という覇権国同士の争いにならないと考える理由はありません。希望の星として示している自然エネルギーの製造業自体も大恐慌を無傷で生き延びると考えるのはあまあまです。

本当にみんながだまされるような良くできた偽りの希望であるのなら、それを指針に動き出す人が増えることで、希望的観測が現実になることもありうるでしょうが、多分だまされて動きづらい、できの悪い偽りの希望だと言えます。

ちなみに、ハインバーグが云っているパワーダウン戦略というのは、負け戦覚悟の撤退戦であっても戦うべき時に戦わないと何も残らない、というくらいの叱咤激励であって、危機に勝てる希望を語っているわけではないでしょう。
posted by おぐおぐ at 01:15 | TrackBack(0) | 哲学(時代認識/エネルギー論) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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