2007年08月30日

ん!:ニュース短信その5

この記事の表題一覧。
・力こぶ比べと戦争の香り
・みずほ情報総研HPにピークオイル説解説記事
・ハインバーグ:ピークオイルと気候変動の運動に橋を掛ける
・東アジアサミット前夜
・安倍首相欧州歴訪記者会見
・東アジアエネルギー安全保障に関するセブ島宣言
・1/29〆切:エネルギー基本計画のパブコメ募集中
・三菱ガス化学など9社、石油代替「DME」普及へ新会社
・国内各製造業の原油高騰対応策
・日本の対イラン経済制裁発動
・米国の住宅着工件数大幅減
・福岡正信さんよりお電話
・暖冬の終了気配にも関わらずNY原油60ドル台へ突入
・市民のための環境学ガイドでピークオイルの書評
・チェイニー米副大統領は何のために来日したのか?
・米イラン戦争?
・マシューシモンズの翻訳本
・日本の対サウジみやげは石油備蓄基地
・バイオ燃料の長所と悪影響 国連が報告書
・スイス外務省のピークオイル討論会
・WTIが70ドル台
・東京平和映画祭で『End of Suburbia』上映
・Finanticl TimesでIEAの新報告紹介
・今週はピークオイルの週-7月15日
・日本向けのシベリアパイプライン完成は2015〜17年に延期
・金子勝+アンドリュー・デウィットのチーム本
・ロシア経済省、ロシアの生産ピークをほのめかす
・期間限定で関東地方のでんき予報を
・日本インドネシア共同声明
・日本インド共同声明
・ピークオイルと地球温暖化の統合対策について
ん!:ニュース短信その6 へ続く

   −−−
●ピークオイルと地球温暖化の統合対策について
カーボン・イクイティのHPの中に、ピークオイルと地球温暖化の統合対策についての論文がありました。

イアン・ダンロップ(元・石油産業のCEO) March 2007
Climate Change & Peak Oil
An Integrated Policy Response for Australia
http://www.carbonequity.info/PDFs/Peak%20oil%20Dunlop.pdf
”気候変動とピークオイルは、対策の政策が互いにそれぞれ相手と衝突せず補強しあうものでなければならない。”
”国際的にも国内でも大気中CO2濃度を安定化させピークオイルに備えるための措置について合意し実行することが必要である。政策の実効性を測定するためには明確で法的拘束力のある数値目標を持つ必要がある。”
”現在のその場しのぎの政府の政策は、気候変動という挑戦を受けるには全く不適当なものである。ようやくいやいやながら議論され始めている排出量取引は、必要とされる包括的な政策の一部の要素にしかすぎない。
ピークオイルは短期的には最も大きな悪影響を与える問題であるにも関わらず議題に上がってすらいない。
 この論文では両方の問題に均等に答えるための、世界的、国内共に包括的な統合された以下のような政策を提案している。”
. Stabilising global atmospheric carbon concentrations at 450ppm CO2e by
. Contracting annual global carbon emissions from 8GTC today to 3.5 GTC by 2050
. Equitably allocating the contraction task between nations by converging linearly from today’s unequal per capita emissions to equal per capita emissions globally by a date to be negotiated, say 2040. Australian emissions would have to reduce by 50% by 2025 and 90% by 2050.
. Using a modified Kyoto Protocol to provide the framework for the contraction and convergence process, and for international emissions trading.
. Meeting the national carbon reduction budget by a system of Tradeable Energy Quotas (TEQs) within Australia.
. Negotiating a global Oil Depletion Protocol to allocate available oil equitably between nations, determining national oil descent budgets and providing for international trading
. Allocating oil domestically via a similar TEQ concept to emissions reduction. (TEQs are also applicable to the management of scarce water resources, although this is not the subject of the current paper).

つづく●日本インド、環境保護及びエネルギー安全保障における協力の強化に関する共同声明
日本語仮訳はこちらhttp://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_abe/iim_07/india_sm_y.html
原子力については、NPT体制への悪影響という観点から米印原子力協定への支持表明を見送ったという報道もあり、インドネシアに続いてなかなか原発推進との安倍首相の意向を出すこともままならないようです。

●日本インドネシア、気候変動、環境及びエネルギー問題についての協力の強化に関する共同声明
日本語仮訳はこちらhttp://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_abe/iim_07/kiko_ks.html
 我らが安倍「丸恥」首相の外遊の一国目です。もっとも間近な議題は、今年末に開かれるバリMOP3会議での議長国との連携でしょうか、それから日本からの原発輸出話、インドネシアからのLNG輸入が2010年以降も継続可能か話、にも話が及んでいることと思います。とはいえ不思議なことにこの共同声明の中には、一言も「原発」の文字が出てきません。
 インドネシアは2004年末のインド洋大津波でも記憶に新しいように環太平洋火山帯の一部で、地震問題を抱えているところです。原発なんて建てられるとは思えませんが、日本から「は」売り込み攻勢を掛けているということでしょう。
日経の8/10記事によると、経産省の担当者が平行して「原発の技術支援などに関する共同文書に署名する」としています。

●期間限定で関東地方のでんき予報を
でんき予報ツール
 イザと言う時当てにならない原発どんのお陰でこういうのを電力会社が用意してくれました。
これってほとんどが価格高騰中の石油・石炭・LNGだということをお忘れなく。

●ロシア経済省、ロシアの生産ピークをほのめかす
7月25日ロイター電によると、「ロシア経済省は24日、長期経済見通しを発表し、同国の石油生産量は2020年まで概ね横ばいになるとの予想を示し、現在の同国エネルギー政策と国際エネルギー機関(IEA)の予想をほぼ確認した。」とのこと。
年間5億3000万トン(日量1060万バレル)の水準にとどまる見込み、だそうです。

●金子勝+アンドリュー・デウィットのチーム本
の、「環境エネルギー革命」は、ここでウォッチしてきたピークオイル論の文脈を使って、石油争奪戦争たるイラク戦争や、温暖化に関わる科学や京都議定書の国際交渉、などなどの外部不経済の議論を使って、日本の硬直したエネルギー政策を批判しています、統合をして仕上げられた、政治経済学の本です。ぜひお読みください。

環境エネルギー革命(著)金子 勝/アンドリュー デヴィット
環境エネルギー革命
出版社/メーカー:アスペクト
価格:¥ 1,575
ISBN/ASIN:475721393X
Rating:ZERO

「この本では、環境エネルギー問題の国際動向に焦点を当てている。日本の多くの人びとは気づいていないが、私達の予想どおり「イラク戦争が終わらない」ことがわかってから世界は大きく変化し、この環境エネルギー政策に国際政治の対抗軸が大きくシフトしているからである。しかも、この点でも、日本の政治やメディアはますます世界から取り残されている。皆が、日本の「不都合な真実」を隠しているのだ。」(あとがきより)

●日本向けのシベリアパイプライン完成は2015〜17年に延期
 時事通信より
「日本向け着工は15年以降=太平洋油送管、大幅延期へ−ロシア」
 資源探査に成功しなければもっと遅れるかも、ということで、大口の中国への需要を優先させているようです。

●今週はピークオイルの週-7月15日
 Energy Bulletin誌ではタイムズ紙のコラム、サンデイヘラルド紙のIEA予測記事など5つの記事を紹介し、
ついにピークオイル現象がメディアのメインストリームに掲載され始めた、としています。
 NYの原油価格も一日毎に1ドルずつ上昇する急な展開であるだけに、メディアの取り上げ方が爆発的な正のフィードバックを起こしても不思議ではないでしょう。
 日本の参院選の結果にまで影響が波及してくるかどうかは不明ですが。

●Finanticl TimesでIEAの新報告紹介
World will face oil crunch ‘in five years
という記事が掲載されています。
山頂2号さんによればMedium-Term Oil Market Report (MTOMR)というのが公表されているそうです。

Non-OPECの新地域での開発の遅れという書き方で、あたかもスループットの限界の範疇の問題にすぎないかのような説明がされていますが、(ピークオイルによる)ストックの限界の表れである可能性は否定できません。
IEAとしては、OPEC諸国が増産を政治決断することに期待、というスタンスを取っており、今後更なる価格高騰が起こった時に、OPECが石油を外交問題に利用していると責任をなすり付ける準備をしはじめているようにも見えます。

●東京平和映画祭で『End of Suburbia』上映
山頂2号さんのブログへどうぞ

●今年も夏のバカンスシーズンに入り、WTIが1バーレル70ドル台に乗りました。
7月に入り、日本でもガソリンがリットル140円台ですね。

●スイス外務省のピークオイル討論会
についての紹介記事がSwiss Infoに掲載されています。
不安なポスト石油時代

バイオ燃料の長所と悪影響 国連が報告書
と題した記事をJanJanに掲載していただきました。

●日本の対サウジみやげは石油備蓄基地
 4/29安倍首相はサウジ訪問に際して、沖縄の石油備蓄基地を平常時にはアラムコ社が運用できるような契約とすることを提案しました。需給がひっ迫する「緊急時」には日本に優先的に提供されるような契約とする、ということですが、一国だけの安定化を図り原油供給国に擦り寄る、変な外交だと思います。

 この政策の狙っている目的がはっきりしません。一時的短期的な需給の変動を吸収するためであれば緊急時だけ融通をつける契約とすることには自国のみにとってのバッファーの意味はあるでしょうが、その際でも逆に、緊急時のみ他国への販売を促進できる契約とする方が、期せずしてアジア地域的全体のエネルギー安全保障メカニズムとすることができるでしょう。

 さらに、近未来の恒常的なピークオイル問題発生を視野に入れれば、いざ問題が始まった瞬間には役に立つように見えても、それが長期化しはじめあたかも恒常的に見えてきた時点になれば、日本への優先契約そのものが破棄されることになりバカを見るのではないでしょうか。

●マシューシモンズの翻訳本
ブログ「水口章:国際・社会の未来へのまなざし」
の中で「2007年3月の推薦図書」として、「投資銀行家が見た サウジ石油の真実」が上げられていました。
もちろん、あの”Twilight in the Desert”(2005)の日本語版です。読まなきゃ。
投資銀行家が見たサウジ石油の真実(著)マシュー・R・シモンズ,月沢 李歌子
投資銀行家が見たサウジ石油の真実
出版社/メーカー:日経BP社
価格:¥ 2,940
ISBN/ASIN:4822245764
Rating:★★★★★


●米イラン戦争?
 最近の数日だけであっという間にNY原油価格は66ドルを超え、今年の最高値を記録しています。この原因は国連の対イラン追加制裁や、イランによる英軍人の拘束問題などの紛争懸念であるようです。

●チェイニー米副大統領は何のために来日したのか?
という記事がjanjanに掲載されています。うーむ。

●市民のための環境学ガイドでピークオイルの書評
国連大学安井教授の「石油、最後の1バレル」についての書評が出ています。

●暖冬の終了気配にも関わらずNY原油60ドル台へ突入
 21日の終値は1日で2ドル上昇して、ちょうど60ドルとなりました。
やはりこれはイラン政局の影響でしょうか。それともイギリスブレア首相のイラクからの撤兵発表で、さらに中東危機の懸念が増えたからでしょうか?

●福岡正信さんよりお電話
をいただいてしまいました、キャー。
 今勤めているところで、福岡氏が作られた環境イロハカルタのご紹介をする機会があるかも知れません。そういえば氏も誕生日が2月2日だということで奇遇ですねー。

●米国の住宅着工件数大幅減
 人さまの分析におんぶにだっこで申し訳ないですが…
ブログ:化学業界の話題より
「速報 1月の米国住宅着工件数」
http://knak.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/1_bff3.html
と新築件数がダウンしていることが見て取れます。
米国においては、新築販売よりも中古住宅の市場がはるかに大きく、中古住宅の転売による住宅バブル現象が見られたのだと思いますが、そちらについては「米景気強気論に死角はないのか?」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20070214/118976/
をどうぞ。

●日本の対イラン経済制裁発動
外務省プレスリリース
外国為替及び外国貿易法に基づくイランの拡散上機微な核活動及び核兵器運搬手段の開発に関連する資金の移転の防止及び貨物の輸入の禁止等の措置について
 が出されています。

●国内各製造業の原油高騰対応策
1/17に表記のシンポがあったそうです。
安井至教授の「市民のための環境学ガイド」HPにヒアリングを行った記事「日本の製造業の原油高騰への対応戦略 その1」がありました。
 とはいえ、この記事では安井教授自身は2030年ピーク論のようです。

三菱ガス化学など9社、石油代替「DME」普及へ新会社 日経にありました。
 DMEはGTL(天然ガス液化)の範疇の合成液体燃料じゃないでしょうか。これまで製造プラントの開発が行われ、燃料としての規格化検討なども行われ、そのままディーゼル燃料にも使える?ということで2008年から市場に出回るようです。
 たしか、炭層メタン回収のCDM検討などでも、現地にDME製造プラントを作って、燃料利用するという手も企画されていたようです。

●1/29〆切:エネルギー基本計画のパブコメ募集中
 ブログ:サステイナブルなもの のhiroさんが、
持続可能なエネルギー政策とは?
で紹介しています。
 知りませんでした、ちゃんとフォローしてませんでした、すんません。
 およそ戦略のかけらもない日本のエネルギー政策に怒りのコメントをみんな送りましょう、Prepare Now Peak Oilと。

●東アジアエネルギー安全保障に関するセブ島宣言
 外務省のHPに掲載されています。
東アジアのエネルギー安全保障に関するセブ島宣言(英語)
http://www.mofa.go.jp/region/asia-paci/eas/energy0701.html

 第一文が示唆的ですね。
”RECOGNISING the limited global reserve of fossil energy, the unstable world prices of fuel oil, the worsening problems of environment and health, and the urgent need to address global warming and climate change;”
「地球全体の化石燃料資源が有限であり、世界の石油価格が不安定であり、環境と公衆衛生問題が悪化しており、地球温暖化と気候変動問題に対処することが緊急に必要であることを認識し、」

ここの最初は、ピークオイル問題を認めたNz(アオテロア)あたりが文言に入れるように主張したものでしょうか。

●安倍首相欧州歴訪記者会見
 13日土曜日夕方にNHKで記者会見をしていました。
 EUの新エネルギー計画についての説明はなし。
質問の方でもエネルギー関連で出てきたのはロシアの資源戦略に対してのコメントをということで、資源を外交に政治目的で使うなというメッセージだけでした。
 ところでNHKさん、やらせ記者会見であることが見え見えのカメラワーク。

●東アジアサミット前夜
ブログで事前コメントが出始めています。
・水口章:東アジアのエネルギー問題
http://blogs.yahoo.co.jp/cigvi2006/43811154.html

●ハインバーグ:ピークオイルと気候変動の運動に橋を掛ける
 を訳してみました。

●みずほ情報総研HPにピークオイル説解説記事
コラム ピークオイルと石油の未来 −ハバート曲線から−
http://www.mizuho-ir.co.jp/column/kankyo070109.html
 論理立ての大半は良いのですが、グローバルなピークに到達した後何が起こるか、ということからリスク管理が必要、とどうしてならないんでしょう?

●力こぶ比べと戦争の香り
 2001年ハワイ沖で起きた、実習船えひめ丸が沈没した事件を思い出させる原潜とタンカーの衝突事故がホルムズ海峡でありました。大規模な軍事演習をイラン向けにやっているのでしょうか。
ホルムズ海峡が海の火薬庫になっているようなきな臭い香りです。
 また、ベラルーシとロシアの力こぶ比べ、貿易紛争がパイプラインの供給安定性に疑問を投げかけている事態も起こっています。

ん!:ニュース短信その4 へ続く
posted by おぐおぐ at 00:40 | TrackBack(3) | ん!ニュース短信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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東アジアサミット 議長声明で北朝鮮の拉致を批判
Excerpt: フィリピンのセブで開いた第2回東アジア首脳会議(サミット)は
Weblog: ネット社会、その光と闇を追うー
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Excerpt: あまり一般には知られていないのですが、日本にも「エネルギー政策基本法」と呼ばれる
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Oil has Peaked 現場も口にしだしたピークオイル
Excerpt:  ピークオイルが事実かどうか?  事実でしょう、問題はそれがいつかということ。さらに、言えば、それがいつニュースとなって広がって行くか。  実際のピークより、市場の危機感のほうが大きな影響を与える分野..
Weblog: しなやかな技術研究会β
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